江東区 メジャーヴィーナス・ジャパン(株)「東京エコファクトリー」在来種植栽フロントガーデン

江戸の在来種植栽プロジェクト

企画:アーバン・シード・バンク
木工制作:一般社団法人 街の木ものづくりネットワーク(マチモノ)
デザイン・植栽:(株)Q-GARDEN

 

東京都では、生物多様性に関する国際的な関心の高まりを背景に、敷地の緑地化には地域にもともと生育している植物である「在来種」を多く植栽するとともに、鳥や昆虫類をはじめとする動物が住みやすいよう工夫する動きが多くなってきました。東京都環境局は、平成24年度に策定した「緑施策の新展開」に基づき、緑の「量」を確保する取り組みに加え、生物多様性の保全など、緑の「質」を高める取り組みを進めています。たとえば、東京に自然分布している植物(在来種)を植栽することで、東京の生きものに適した環境を回復させるための取り組みとして、在来種植栽登録制度「江戸のみどり登録緑地」を実施しています。

Q-GARDENは、2017年12月に、廃棄物加工処理の合弁会社であるメジャーヴィーナス・ジャパン(株)(本社・千代田区)の新木場(江東区)にある拠点「東京エコファクトリー」の敷地増設にあたり、「江戸のみどり登録緑地」を参考に、フロントエリアを在来種だけの植栽で施工するプロジェクトを実施しました。東京エコファクトリーは、廃棄物、循環資源の受け入れを可能としたワンストップソリューションの事業所です。

絶滅が危惧されている在来種を積極的に植えることは、本来その土地に生育している“種の保存”や、鳥や昆虫などの生物の保護につながります。そして多様な樹種・品種を植えることで、生物多様性を維持することができます。あまり自社の緑地には気を使わない業界だそうですが、そのような業界の中でも、環境に配慮した会社を目指したいというお考えとのこと。是非お手伝いさせていただきました。


植栽のコンセプトをわかりやすく表現するために、フロントガーデンに鳥の巣箱や木のベンチを置くことを企画し、マチモノにこれらの制作を依頼しました。通常廃棄されてしまう伐採した都市部の木(街路樹、公園木、庭木等=都市森林資源)をはじめとした、身近な自然から得られる恵みを資源として有効活用している団体です。3つの巣箱はそれぞれ材質が異なり、スギ、クロマツ、ヒバで制作しました。ベンチはクスノキでつくりました。

植栽の低木は、「新木場里山計画」という提唱のもと、アーバン・シード・バンクの企画・協力で、福祉作業所と里山保全の「熱海の森」で育てられたものを取り入れています。通常のお客様は、メンテナンスの面で、草花や多年草をあまり取り入れたがらない傾向にありますが、こちらでは積極的に在来種と草花を取り入れ、土地の生きものにも優しく、季節の変化を感じられやすくなっています。

これまでの都市緑化では、見た目の美しさとあわせて、剪定や乾燥、病害虫への耐性などを重視し、外来種や品種改良した栽培品種が多用されてきました。そのため、在来種の植栽に切り替えると、景観面の制約だけなく、維持管理コストや苦情などが増加するのではという懸念の声もあるようです。そもそも「在来種植栽」に取り組む意義や参考となる情報を、東京都が「在来種植栽の設計・管理のポイント」などにまとめています。在来種の緑地を取り入れる事業所が増えることを願っています。

 

<関連リンク>
◆東京都環境局 「生態系に配慮した緑化の推進」

お問い合せ