横浜市 シニア花壇プロジェクト 「大倉山シニアハウス+」

地域交流の拠点“エンガワ家庭菜園計画”

主催:大倉山シニアハウス+
企画・施工・アドバイザー:株式会社Q-GARDEN

 

横浜市港北区―大倉山駅から商店街を抜けた徒歩10分程の場所に建つ、「大倉山シニアハウス+」のシニア向け花壇のプロジェクトです。この共同住宅は、3階建ての2棟(22戸)が中庭を介して並ぶ配置となっていて、高齢者優先の賃貸集合住宅です。“+(プラス)”の名前の通り、高齢者世帯を中心に、加えて子育て世帯用賃貸住宅もあり、入居者同士が自然と交流できるように意識されています。竣工後に、オーナーと入居者の対話から、庭に畑や花壇を整備する要望があり、Q-GARDENが企画・アドバイザーとして協力することになりました。



この共同住宅は、(株)スタジオ・アルテックが設計し、「エンガワ計画」というタイトルで進められました。高齢者の為の集住計画に当たり、地域の交流の拠点となり、多世代が混成的に住まう場とし、地域の住人が自由に出入りするポケット・パークとして位置づけようと計画されました。2017年の神奈川建築コンクールで優秀賞を受賞している建造物です。

1階には集会所や生活相談室があり、訪問介護拠点であるデイサービス会社と事業所内保育所なども入居し、住民だけでなく地域に開かれた施設です。配置の構成は、中庭を挟んで大きく二棟に分かれ、二棟がブリッジを介してつながっています。敷地境界と建物の間には十分なセットバック(庭)を取り、様々な樹種の木々を植え、敷地周辺にとっても良好な環境を生み出しています。

Q-GARDENは、高齢者が作業することを考慮した、畑や花壇をデザインしました。まず、「レイズドベッド」という上げ底式の花壇を3ヶ所導入しました。地面に四角く木枠を建て、その中に土を入れ、地表より高くして花壇や菜園にするという方法です。レイズドベッドは、腰をかがめることなく、もたれかかって作業ができるので、特に足腰の悪い高齢者の方に適しています。さらに人が畑の上に体重をかけて土を踏み固めてしまうということがないので、土の状態を良好に保てます。水はけも良くなるため、根腐れなどを起こしづらくなります。レイズドベッドのガーデンは、きっちり区画が整理されていてキレイな印象を受けます。また、通路にはウッドチップを敷き詰めたことで、木の香りでリラックス効果があります。そして、レイズドベッドエリアの続きには、もう少し若い世代向けに、グラウンドレベルに花壇を4ヶ所つくり、家庭菜園を通じて世代のこえた交流ができるようになりました。

花壇のデザインだけでなく、Q-GARDENは家庭菜園用の道具や植えるもののコンサルティングも行いました。高齢者には珍しいロマネスコや手入れが面倒でないジャガイモなどの菜園計画の立て方、植え方のスケジュール、導入時の予算のアドバイスも実施しました。この花壇は、入居者自身が管理を行い、庭の共用テーブルで話し合いが行えるようになっています。

このようなエンガワ計画と季節を感じられる植栽、入居者が利用可能な花壇や畑の相互作用によって、年齢差のある交流が居住者のみならず、施設利用者や地域住民など、双方にとって良い効果のある交流を生む場となっています。住民の顔を合わせる機会の少ない時代、今度この流れが増えていくと良いと思います。

 

<関連リンク>
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