国分寺市 “武蔵野の雑木林”をイメージしたマンション植栽リニューアル

JR中央線の国分寺駅から徒歩8分の立地にある分譲マンションの植栽リニューアルに、Q-GARDENのプランが採用されました。現在、このマンション全体の緑地をQ-GARDENが継続的に管理しています。明るいベージュのタイル貼りの外壁のマンションは、ヨーロピアン調のエントランスが目を引きます。ケヤキ並木道を挟んで東西2棟に分かれ、総敷地面積は約8,400㎡超の大規模レジデンスです。中庭は、周囲が塀と植栽で囲まれた居住者だけが利用できる独立性の高いプライベート・ガーデンで、小さなお子様も安心して遊ぶことができるスペースになっています。この中庭の植栽を、“武蔵野の雑木林”をイメージしたナチュラルなデザインへとリニューアルしました。

きっかけは、2001年末竣工当時に施工された中庭に複数配置されている「築堤」を改善したい、というクライアント側の課題がありました。盛り土した少し高いところに高木のアラカシを植え、コンクリートのかまぼこ型プレートを両脇に建て築提のようにデザインされた植栽です。経年によりこの築提の山が剥げ、アラカシが衰弱している状態でした。アラカシの生育不良の原因として、盛ってある土が下に流れてしまい、さらに、子どもたちが登ることで根が露出してしまったことが考えられました。この築提の植栽を改善すると同時に、緑地管理会社を一新したいというご要望があり弊社にお声がけがあったのです。したがって本件のコンペでは、築提のリニューアル工事と、マンション緑地全体の植栽管理もあわせて提案することが条件でした。

Q-GARDENは、マンション全体の緑地に関する問題点を9項目に分けて詳しく分析・提案しました。例えば、築提以外のエリアでは、車道に面した肥大化したコニファーの植栽をすべてツツジ等の低木に揃えること。また、全体的に植物が衰退してしまった箇所では、土壌改良した上で、その環境に合った植物へ植え替えることなどを提案しました。


最も重要な築提のリニューアルについては、現状ある高木や盛り土をすべて取り除き、地面をフラットに整え、地中深く土壌改良します。事前にマンション理事会が住民からアンケートを取り、築提デザインをなくす方針が決まっていました。Q-GARDENとしても、子どもたちの遊び場である以上、築提エリアを土壌改良したところで解決にはならないと考えていました。また、すでに高木も枯れているため、下草のみを植え替えても一時的な改善にしかなりません。

植栽デザインが大きく変わるため、集合住宅の場合、住民の方々に納得してもらうことが大切です。こちらのマンションでも、住民説明会を何度か行いながら意見集約していきます。最終的に意見がまとまり、実際に施工に取り掛かったのは、理事会の承認を得てから約1年が経過していました。住民の方の合意形成のために、多くの資料を作成し、くり返し足を運んで説明するなど、長期間の大変なプロセスでした。

住民の方のご意見により “武蔵野の雑木林”をイメージする植栽デザインに決定したのですが、こちらはQ-GARDENが最もおすすめしたデザインです。今流行しているデザインよりも、何十年も飽きずに楽しめる方がマンションの緑地には適しています。樹木はアラカシとモミジの2種だったところを10品種以上へ、下草はタマリュウ1種だったところに30種品種もの植物を植えることになります。リニューアル前と比べて、植栽した品種は格段に多くなりますが、環境に合った植物を組み合わせています。品種が増えるため手間がかかると思われがちなのですが、土地に合ったものを複数植えることで、実は手間がかからず植栽が長持ちするのです。たくさんの植物を楽しみつつ、結果的にメンテナンスの費用を抑えることが可能になります。

2018年に施工し、初年度は、まだ根がしっかりと地中に張っていないこともあり、枯れやすいので注意が必要です。翌年の春頃からようやく新芽が出るようになり、根が安定することで葉も茂り、2年経過したところでようやく植栽デザインが出来上がってきました。

<施工時>

<1年目>

<2年目>

最初に、マンション住民の方々にQ-GARDENのコンセプトを理解してもらうことに時間をかけました。そして、植物にとっても住民にとっても長期的に最適な植栽デザインを提案したプランに共感して頂けたことでこのリニューアルが実現したのです。引続き、弊社が年間管理を担当しますので、一年を通じてオーガニックなケアをしていきます。

 

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