青山通り 緑化プロジェクト① ~「緑の環境プラン大賞」受賞~

 2019年10月、公益財団法人都市緑化機構が主催する「第30回緑の環境プラン大賞」に、『青山通り 緑のおもてなし風景街道』が選ばれました。緑豊かな都市環境で育まれる人と自然とのふれあいやコミュニティの醸成等の実現に資する緑化プランについて、優秀作を表彰するとともに、そのプラン実現のための助成が行われます。非営利法人渋谷・青山景観整備機構(SALF)が応募団体となりますが、企画・設計についてQ-GARDENが協力し、本件のプランニングを作成しました。このプランは、緑の環境プラン大賞の「シンボル・ガーデン部門」に選出され、助成を受けられるという喜ばしい結果になりました。

 青山通りは、国道246号のうち、東京・千代田区永田町三宅坂から、港区赤坂青山を経て、渋谷区渋谷に至る大通りです。渋谷・原宿・青山地区の都心の山手エリアを横切り、代々木公園・神宮内外苑・青山霊園・赤坂御用地の緑に囲まれ、その中に大学や美術館が存在し、多様で魅力的な観光資源を有しています。オフィス街やファッション街としても人気が高い通りです。以前より、SALFの緑化活動は青山通りの景観重要道路部分2.3㎞区間(渋谷宮益坂上交差点~青山1・2丁目交差点)を中心に展開していました。

 しかし、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、車道舗装補修と中央分離帯整備が進められているのに、緑地部分の植栽メンテナンスについては、国道事務所による剪定作業の頻度が減ったために荒れている状態でした。そのため、SALFは街路緑化の新しい形を模索していました。この活動をバックアップするために、NHKエデュケーショナル「マチニワ」事業(当時)の支援のもと、Q-GARDENは吉谷桂子氏とともに、植栽デザインの中心プランナーとして2018年秋より参画。道路管理者に頼るだけでなく、地域と道路管理者が連携する、公共空間における植栽方法の新たな提案となりました。

 近年、豊かな緑の街並みが求められる一方で、人口減少や財政難のため、それを整備する条件は年々脆くなっています。また、今までにない猛暑や豪雨などの気候変動が加速している状況の中、“街路樹緑化の新たな知恵”が世界中で求められています。いかに<ローメンテナンス>で厳しい気候にも耐え、<年間を通して美しさを保つ>こと、そして<地域コミュニティの活性化>に役立つことが注目されています。「マチニワ ~青山通り」のプラン概要でも、それらのキーワードを主軸に、オランダのガーデンデザイナーPiet Oudolf氏に代表される「DUTCH WAVE(ダッチウェーブ)」と呼ばれるローメンテナンス緑化のノウハウを取り入れながら、新しい青山通りを創造していきたいという方針でした。2020年東京オリンピックを契機に、その領域のプロフェッショナルである吉谷氏とQ-GARDEN小島に、植栽デザインを任されることになったのです。

 植栽を行う場所は、当初、「宮益坂上交差点交通島」「表参道交差点」「エイベックスビル前」「青山小歩道橋下」「絵画館銀杏並木前」を候補として計画していました。植栽が荒れている、ゴミが廃棄されている、デザインの統一感がない、低木が繁茂しすぎているなど、それぞれ現状に問題のある場所です。最終的に、2019年度は「宮益坂上交差点交通島」「青山小歩道橋下」「絵画館銀杏並木前」の3か所の植栽に集中して取り組むことになりました。

 具体的な植栽工事の詳細は、「青山通り 緑化プロジェクト②」の事例で紹介します。

 

<関連リンク>

◆公益財団法人都市緑化機構「第30回緑の環境プラン大賞」
◆WORKS:青山通り 緑化プロジェクト② ~公共空間における新たな植栽方法の提案~

お問い合せ