第1回「ガーデンキュレーター即戦力キャンプ」2021夏・報告レポート

2021-08-10

「ガーデンキュレーター即戦力キャンプ 2021・夏」が無事終了しましたので、ご報告いたします。

Q-GARDEN代表の小島は、「日本初のガーデンキュレーター」と自ら名乗り活動を続けてきました。

20年あまり植栽管理の現場に携わる過程の中で、住む人/活用する人(施主側)と作業する人(受注側)との意思疎通する役割の重要性を伝え続けてきました。そのような想いの中、特に影響を受けたのが、山本紀久先生の『造園植栽術』という本でした。そして、2年前から山本先生にご相談しながら計画していたのが、この「ガーデンキュレーター」を養成する講座です。

2021年・夏の即戦力キャンプは、山本紀久塾長のもと、『造園植栽術』第7章の内容をさらに深掘りしていくという、1泊2日のプログラムでした。場所は、千葉県君津市にある内山緑地建設株式会社のご協力を得て、その敷地内で実施しました。

初日の朝は、警報級の豪雨だったにもかかわらず、欠席者もなく、遠方からも集結してくれた参加者の熱意に感激しました。

<7月2日>

1日目は、昼食をはさみながら、山本先生による「管理編~造園樹木の剪定」についての講義でした。荒れていた天候も、開始時刻にはちょうど小雨になってきました。会場である内山緑地建設さんが運営する君津グリーンセンターの一部である「内山ガーデン&アーボリタム」の歴史とその活用について、実際にそこを歩きながらのフィールドワーク講義を実施しました。

君津グリーンセンターは、多彩な樹木栽培やコンテナ栽培をするとともに、地域の研修やセミナーの場にもなっていましたが、1999年圃場の一部を散策路として整備し、山桜を鑑賞する花逍遥の会が始まったことから「内山ガーデン&アーボリタム」としての活動が開始しました。

2000年に淡路島で開催された国際園芸・造園博「ジャパンフローラ2000」にて出展されたRHSJ記念庭園を移設し、庭園エリアもあります。現在は、圃場を親しみやすいように「きみつのさんぽ道」と名づけ、より多くの方にこの場所を楽しんでいただきたいと、オープンガーデンとして開放しています。

このパートでは、植物管理とは、養生管理、育成管理、抑制管理の3つの段階で考えること。そして、樹木や樹群を魅力的にみせるには、適切な空間を確保することが重要であること、造園の植栽は、植栽材料の生産、植栽、管理のすべての段階で植物の盛衰に応じた時間のかけ方がキーとなること。など、植物の管理の基本について学びました。

夕方は、小島によるガーデンキュレーターの役割についてレクチャーを行った後に、参加者同士の情報交換を行いました。

植物園、植物生産者、植栽設計、林業などのあらゆる会社や職種の方々が、参加していました。

「林業だけでは商売は厳しいので、造園関係の業種と繋がることで新たなことが実現できないだろうか」、「森の樹木は宝の山だが、流通に問題がある」など、それぞれの問題意識の交換ができたようです。

 

<7月3日>

2日目は、山本先生による「監理・運営編~樹木景観の動態管理」についての講義です。遷移を読み込んだ植栽管理をすること。植物管理には、ウォークスルーによる監理が不可欠であること。など、植物の監理・運営について学びました。

午後は、再び内山緑地建設さんのご配慮により、フィールドワーク。樹齢30~40年のクスノキの大透かしの様子を見学することができました。樹形を保つには、場合によっては思い切った剪定が必要であることを知ると共に、今後の樹形をイメージして残す技を決める過程を、山本先生と同じ視線で共有できたことが有意義でした。

2日目のカリキュラムも無事に終え、夕方にはアンケートを各自記入後、解散となりました。

 

アンケートには、

「いつもとは一段高いところから自分の仕事を見直す良い機会でした」

「今まで曖昧にしていたことや知識が、点と点が線でつながった」

「マンション植栽管理での、植栽管理とは別の第三者としてのキュレーターの必要性を知ることができました」

「山本先生のお話はもちろん良かったが、熱意のある方々が集まっていることが素晴らしい」

などの、前向きなコメントを頂きました。

一方で、運営面での課題も見つかりましたので、次回は改善していきたいと思っています。

山本先生の熱のこもった講義を中心に、キャンプという形で二日間みっちりと学ぶ機会が得られたことは、参加者だけでなく、スタッフ含めて充実した時間になりました。

様々なバックグラウンドを持つ人たちが、植物という一つのテーマでつながり、熱意のある人が集まったということ自体が、とても有意義だったのではないかと思っています。

※最後の集合写真の撮影時のみ、参加者はマスクを外しています。

 

さて、次回の第2回目のガーデンキュレーター即戦力キャンプは、2022年1月15日・16日に開催予定です。

詳細が決まり次第、ホームページでお知らせします。

 

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