これからのマンション植栽管理の考え方

年月を経て維持されてきた、庭園や社寺の緑に深い趣があるのは、植栽された樹々が、その土地やまわりの樹々と長い時間をかけてなじんできた証が、それぞれの樹木の幹や枝ぶりに表れ、その庭や林全体がその場の歴史を語りかけてくるからだと言えるでしょう。 

新たに庭をつくり植栽した場合、それらの樹々がその場になじみ、見る人の心をなごませる景観として落ち着くまでには、最低5~7年はかかるといわれています。 

最近の調査によると、新築マンションの価格は、環境性能表示のある物件の価格は、表示のない物件に比べて取引価格が高いという結果が出ています。環境性能の中でも特に人気のある要素は、「長寿命化」・「断熱」・「緑化」3点です。また、中古マンションにおいては「緑視率」という観点でも評価されており、豊かな緑地はマンションの資産価値に影響を及ぼすと考えて良いでしょう。 

また、緑地そのものが、住民の暮らしの快適性・コミュニティー形成に寄与していることは言うまでもないことですね。 

現在、数多く存在している20年~30年余りを経たマンション。その緑地は、もうすでに、かなりの価値を持ったものであると言えます。しかし、存在しているだけで風格を漂わせている樹がある一方、そろそろ寿命を迎えている樹、不適切な手入れによって、本来の樹形からかけ離れてしまっている樹も見受けられます。

これまで時間をかけて蓄積してきた、この価値ある緑地空間を、将来にわたって価値を維持し続けるためには、一つの管理方針を決め、それを代々受け継いで行くことが望ましいと言えるでしょう。

 

■マンション植栽管理におけるガーデンキュレーターの役割

欧米の主要な園地には、手入れされている植物が、目標の景観とかい離していないかを常にチェックする「キュレーター」と呼ばれる専門家がおり、その指示によって、日本の植木職人にあたるガーデナーが、具体的な作業を行う仕組みになっています。

緑と花の美しさでも人気の高い、アメリカのディズニーランドでは、専属の管理組織の責任者(キュレーター)がガーデナーと一緒に現場をまわりながら、目標の確認とその具体化について調整をする「ウォークスルー」が計画的に行われ、事業者・キュレーター・ガーデナーの3者の意識の統一を図るとともに、今年度の実績をふまえ、次年度の作業計画の策定を行うという作業を繰り返しています。

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これまで、日本では、事業者と造園業者が直接やり取りをする方法が取れてきましたが、昨今は、上記の取り組みの効果が日本でも認識されはじめ、多様な植栽地からなる庭園や公園、主題にこだわるテーマガーデンなどで、徐々に取り入れはじめられるようになってきています。

 

■植栽年間管理カレンダー

一般的な植栽地における、年間管理のスケジュール表は、下記のとおりです。

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植物の品種によって、上図のように管理の適期や回数は異なります。

その現場の植栽と予算に合わせて、適切な時期に効率的に管理するために、なるべく多くの作業が重なる月に計画していくことで、効率的に適切な管理を行っていくのが基本です。

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